(記事紹介)なぜ日本人ばかりが米国で投獄されるのか?
今回は次の記事を紹介したいと思います。
よくある米国弁護士による自動車部品カルテルの感想や日本企業のコンプライアンス体制へのコメントのようでしたが、いくつか面白いコメントがありました。
アンカー・カプール氏(以下カプール):(中略)実のところ、私は司法省が発表している規模で価格カルテルが行われていたとは思っていません。対象となっている部品の種類、関与した企業の数、実際にカルテルをしていたとされる期間の長さを考えても、それだけの規模と期間で価格を操作し続けるのはとても難しいと思います。
司法省が言うほどにはカルテルが存在していないと?
カプール:いくつかの価格操作は実際にあったでしょう。ただ、実際に起きたことのかなりの部分は日本のビジネス文化や慣習と、米国で反トラスト法を執行する際のコンフリクト(衝突)によるものだと考えています。
「いくつかの価格操作は実際にあったでしょう。」とは逆に言えば、価格操作に該当しないような行為に対する執行があったことを示唆しています。
なぜ日本企業ばかりが槍玉に挙がるのだと思いますか?
カプール:それは分かりません。自動車部品に関していえば、自動車部品業界の有力メーカーの大半が日本企業だというのもあると思います。ただ、ご指摘の通り、業界には日系企業以外もあります。金融サービス業界でも同様の反トラスト法違反がありましたが、金融サービス業界で刑務所に入れられた人はいません。
金融サービス業界との比較でいえば、自動車部品業界では自発的に司法取引を行い、収監するされる関与者が多い可能性もあります。
刑事において、価格操作はそれ自体が犯罪です。言葉を換えれば、価格操作があったという事実やその影響を証明する義務が政府になく、企業がカルテルを認めてしまえば、それで反トラスト法違反が確定してしまう。ただ、この状態は法の過剰執行につながりかねず、ちょっと行きすぎです。価格操作それ自体が違法という規定はいずれ廃止されるべきだと私は思います。
カルテルにおける当然違法の原則が批判されることは珍しい気がします。
ちなみに、アンカー・カプール弁護士はANAの航空運賃カルテル事件にも関与したようです。
Ankur has been co-lead counsel for All Nippon Airways Co., Ltd. (ANA) in a class action alleging price fixing of passenger airfares following a resolved Department of Justice investigation. He has also been involved in major non-antitrust commercial litigation.