トランプ大統領と反トラスト法
トランプ大統領の就任により、米国反トラスト法の執行については、どのような影響が推測されるのでしょうか。なお、法執行そのものは、当局の判断であり、大統領が「直接の」影響を持つものではないと考えられます。
まず、日本語にも翻訳されているとおり、AT&Tのタイム・ワーナー買収については、トランプ大統領は厳しい見方のようです。
トランプ大統領はビジネスに理解があるとの見方もあるようですが、結局は見出しのように「unclear」のようです。少し興味深かったのは、トランプ大統領の公約のとおり国際貿易の縮小すると、米国企業は国内の市場に成長余地を求めることになり、競合他社の買収につながるかもしれないとのことです。
このほかにも、トランプ大統領は、過去にアマゾンが反トラスト法上の懸念があると発言したようです。しかし、詳細はよくわかりません。
出典 トランプ、アマゾンを「大きな反トラスト問題を抱える」と非難 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
さらに、OPECに対して、反トラスト法違反で訴えることについても発言があるようです。
出典:Election 2016: Trump on Antitrust | The National Law Review
また、トランプ大統領は、過去に反トラスト法訴訟の当事者となった経験があるようです。
(1)企業結合の届出義務違反について、FTCから民事訴訟を提起され、75万ドルを支払う和解を行った。
(2)NFLとは別のフットボールリーグを運営する立場から、NFLをシャーマン法2条違反で訴えた。しかし、訴えは認められず、そのフットボールリーグも消滅。
(3)運営するホテルのカジノが“Central Boardwalk Area” of Atlantic Cityの独占化を図った等として、民事訴訟を提起された。結果は地理的市場の画定が狭すぎるとのことで原告の訴えは退けられたが、$50 million(約50億円)もの訴訟費用を要したとも言われているようです。
出典:Donald Trump’s Major Antitrust Encounters (Robert A. Skitol, the antitrust source April 2016)