競争政策研究所

将来の研究所を目指して、独禁法、競争法、競争政策関連の考察をしています。

データと競争政策:デジタルカルテル

今回の記事は非常に短いです。

経済産業省の「第四次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会」(第1回)の資料

第四次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会(第1回)‐配布資料(METI/経済産業省)

では、下記のとおり、「デジタルカルテル」について言及があり、議論されています。

ビッグデータが競争法執⾏に対して持つ意味

4.デジタルカルテルの出現

例えば、事業者が共通の価格決定アルゴリズムを使⽤すれば、市場データに基づいて価格調整が 可能となる。また、AIを⽤いて利益最⼤化アルゴリズムを組むことで黙⽰の共謀が可能。

出典:経産省事務局説明資料P4

http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/daiyoji_sangyo_kyousou/pdf/001_04_00.pdf

 

他方、公取委の検討会(第1回)の資料では、次のとおり、「デジタルカルテル」について取り扱わないことが明記されています。

OECD 事務局作成文書 「BIG DATA: BRINGING COMPETITION
POLICY TO THE DIGITAL ERA」(2016年 11 月)

(報告書では,同一の価格アルゴリズムを用いることで市場データに対応して同時に価格調整を行うようにすること等の「デジタルカルテル」の出現可能性についても言及しているが,本検討会では議論の対象としない。)

出典: 別紙3「ビッグデータに関する海外当局の事例と議論」P2

http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index.files/170120data06.pdf

 

この相違点の背景は何か、報告書といった成果物にどのような影響があるか、注視したいと思います。