競争政策研究所

将来の研究所を目指して、独禁法、競争法、競争政策関連の考察をしています。

データと競争政策:経産省と公取の検討会(1)比較

経産省公取委が、各々で「データ」と競争政策に関連して検討の場を設けると、同日(2017年1月12日)に公表しました。

 

経済産業省

「第四次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会」を開催します(METI/経済産業省)

公正取引委員会

(平成29年1月12日)データと競争政策に関する検討会の開催について :公正取引委員会

 

報道によると、

経産省は「データの囲い込みや共有の拒否など、データを巡る不公正な取引やその防止方法を議論」し、

公取委は「独占禁止法の運用方法を検討する」とされています。

企業間のデータ融通、適正な取引方法検討 経産省 :日本経済新聞

 

 

2つの研究会・検討会については、重複しているとの指摘があります。

 

前述の開催案内の表現を抜粋すると次の通りです。

 

経済産業省

2.本研究会の取り組み

上記の動きを踏まえて、本研究会では、
(1)データの集積・利活用の実態について、幅広く事例を集めて類型化
(2)データの集積・利活用に関する競争政策上の論点を整理
(3)欧米の議論も踏まえつつ公正・自由な競争による絶え間ないイノベーションを実現するための考え方の提示
を行うべく、必要な検討を行います。

 

 公正取引委員会

2 主な論点

 ・ データの収集及び活用によって市場支配力が形成等される可能性の有無・程度,これを踏まえた競争政策上又は独占禁止法上の考え方
 ・ データへのアクセスに関する競争政策上又は独占禁止法上の考え方

 

比較すると、経済産業省がより実態把握に重点を置きつつ((1))、産業政策の考え方も示す((3))との印象を受けますが、理論的な整理という面では類似している可能性はあります。

しかし、確認できた範囲では、オンライン関連事業に関する共同ヒアリング調査*1のような、共同の取組みの情報はありませんでした。

 

検討会委員を比較すると次のとおりです。経産省研究会は8名、公取委検討会は10名で、このうち重複は2名(川濵 昇教授、森 亮二 弁護士)となります。

 

 

 

検討会委員 経産省 公取委
  第四次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会 データと競争政策に関する検討会
大橋 弘 東京大学大学院経済学研究科教授 <座長>  
川濵 昇 京都大学大学院法学研究科教授
武田 邦宣 大阪大学大学院法学研究科教授  
森 亮二 英知法律事務所弁護士
立本 博文 筑波大学大学院ビジネスサイエンス科学研究科教授  
林 秀弥 名古屋大学大学院法学研究科教授  
原田 博植 一般社団法人丸の内アナリティクス代表理事  
平塚 三好 東京理科大学大学院イノベーション研究科教授  
宇都宮 秀樹 森・濱田松本法律事務所 弁護士  
後藤 晃 東京大学名誉教授   <座長>
鮫島 正洋 内田・鮫島法律事務所 弁護士  
土佐 和生 甲南大学法科大学院教授  
中林 純 近畿大学経済学部准教授  
西岡 靖之 法政大学デザイン工学部教授  
松尾 豊 東京大学大学院工学系研究科准教授  
和久井 理子 大阪市立大学大学院法学研究科特任教授  
  8名 10名

 

経産省研究会は既に1月13日に第一回を実施済みで、資料が公表されています。 

第四次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会(第1回)‐配布資料(METI/経済産業省)

資料を見ると、興味深い点、考察したい点がありましたので、後日記事にしたいと思います。

公取委検討会は1月20日に第一回が開催予定とされています。